新サービス『AI Chat』をリリースしました!

1. はじめに ─ AI Chatリリースのお知らせ

このたび、私たちのZキャリアに新しい機能として 「AI Chat」 をリリースしました。

この記事では、なぜこの機能を作ったのか、どんな価値を届けたいのか、そして技術的にどんな工夫をしたのかを簡単に紹介します。

2. 人材紹介ビジネスの壁

私たちが取り組んでいる人材紹介事業は、キャリアアドバイザーが中心となってユーザーである「就職活動をしたい方」を支援するモデルです。

ただしこの仕組みには、従来からいくつかの制約がありました。

求職者の特徴

まず一つ目は、私たちが主に支援しているユーザー層が、一般的な「転職サービス利用者」とは大きく異なる点です。  

一般的な求職者は、  

  • 自己分析ができていて現状への不満や次の職場に求める条件が明確
  • 職務経歴があり、面接・転職活動にある程度自信を持っている
  • キャリア形成を前提とした情報収集や相談を行いたい  

といった特徴があります。  

一方で、私たちが主に向き合っているのは、いわゆる「未経験層」や「早期離職層」にあたる方々です。  
たとえば:

  • 10代〜20代前半で社会人経験がほとんどない層:アルバイトしか経験がなく、正社員として働くことに不安を感じている
  • 20代中盤〜後半で1社目を早期退職した層:職歴が短く自信を失い、次の一歩を踏み出せずにいる
  • メンタルや健康面に課題を抱える層:働きたい気持ちはあるが、続けられるか不安を抱えている
  • 地方在住で求人が少ない若者層:地元で働きたいが選択肢が限られており、将来に希望を持ちにくい

こうしたユーザーは「自分に合った仕事がわからない」「失敗したくないけどどう動けばいいかわからない」といった不安を抱えています。  
だからこそ、いきなり「次の職場に求める条件は?」と聞くのではなく、まずは悩みに共感しながら寄り添い、求職や転職に関する基本的な知識や考え方を伝えることが重要です。  

私たちのAI Chatは、単なるFAQ型のAI Botや、形式的に「私は転職エージェントです」と名乗って始まるような一般的なチャットツールでは対応するのが難しい領域をカバーしています。ユーザーの複雑な不安や背景に寄り添い、状況に合わせて自然に会話を進められる「相談の入り口」であることを重視しています。

対応できる時間の制限

もう一つ大きな課題は対応できる時間の制限です。キャリアアドバイザーが稼働しているのは平日の営業時間帯が基本となります。そのため、夜遅くや土日祝日に「今すぐ相談したい」というニーズに応えることができませんでした。転職やキャリアの悩みは必ずしも業務時間内に発生するものではなく、ユーザーの生活リズムに合わせた柔軟な対応ができないことは大きなボトルネックでした。

面談のハードル

最後は面談のハードルです。多くの人にとって「キャリアアドバイザーと面談する」という行為は心理的な負担が大きいものです。

  • いきなり面談に申し込むのは気が重い
  • まだ本気で転職するつもりはないから面談するのは大げさに感じる
  • 転職活動の初期段階で、ざっくり情報収集したいだけ

こうした層にとって、従来の「まずは面談」というフローはハードルが高すぎました。結果として、多くの潜在的なユーザーが最初の一歩を踏み出せないケースがありました。

3. AI Chatで広がる新しい相談体験

AI Chatで私たちが目指したのは、これまで接点を持てなかった方にも安心して使ってもらえる仕組みをつくることです。

たとえば、仕事終わりの深夜に「このまま今の働き方でいいのかな」とふと思ったとき、その場でAIに気軽に相談できる──そんな新しい体験を目指しました。

こうした「ちょっと聞いてみたい」に応えられるのがAI Chatの大きな価値です。小さな不安を解消することで、ユーザーは次の一歩(面談や本格的な活動)に進みやすくなります。

4. Workflow + Agentが支える自然な会話

AI Chatの仕組みとしては、「完全自律型エージェント」ではなく 「Workflow + Agent」 のハイブリッド方式を採用しました。

完全に自律したエージェントに任せることも可能ですが、人材紹介サービスには一定のフローが存在します。たとえば登録、希望条件の確認、求人提案といったプロセスは、順序立てて進めた方がユーザーにとってスムーズで安心感があります。そこで、基本の流れはWorkflowで制御しつつ、細かい判断や柔軟な対応が求められる部分ではAgentに委ねる構成にしました。

この設計にあたっては、エンジニアだけで完結させたわけではありません。実際に日々ユーザーと接しているキャリアアドバイザーにヒアリングを重ね、どこまでを固定のフローとし、どこからを柔軟にすべきかを議論しました。

技術選定においては、一般的なフレームワーク(例:LangChainやn8n)を導入せず、LLM APIを直接活用したシンプルな構成で実装しました。これはプロダクトがまだ初期段階であること、また既存システムとの統合や将来的な拡張を見据えて最大限の柔軟性を確保するためです。結果として、決まった「お作法(フレームワーク)」に縛られない分、現場の複雑なオペレーションを素早くシステムに反映できました。

「ここは必ず確認しておいた方がいい」「この質問は相手の状況によって変わる」──そうした現場の知見を取り込むことで、単なる技術的な設計ではなく、ユーザーにとって自然で意味のある会話フローを形にすることができました。

結果として、このようにAI Chatは事業上のフローユーザーに寄り添う柔軟な会話の両立を実現しています。

おおまかなフロー

5. AI Chatのこれから

AI Chatはリリースしたばかりですが、すでに新しい相談のきっかけを作り出せています。一方で、まだ十分に応えられていない場面もあります。

たとえば、会話の途中でやり取りが止まってしまったり、面談の案内をした後に返事が返ってこないこともあります。

こうしたときに、もっと自然で安心感のあるやり取りができるよう、会話の精度や体験をさらに磨いていく必要があります。

次に、コミュニケーションのあり方を広げていくことです。現状のAI Chatはユーザーのメッセージを受けて応答する形に限られていますが、今後はAI側から積極的にアプローチし、ユーザーの状況に応じて提案やフォローアップができるようにしたいと考えています。

また、現在のAI Chatはあくまで「チャット」でのやり取りに特化しており、面談予約やその他のサービス利用については別画面に遷移してもらう必要があります。将来的には、AI Chatの中で予約や各種手続きを完結できるようにし、よりシームレスなUXを実現していくことを目指しています。

私たちのAI Chatはまだ始まったばかりですが、ユーザーにとって「いつでも・気軽に」相談できる安心感や、これまでにないキャリア相談体験を届けられるよう、改善を続けていきます。

忙しい日常のすき間時間でも、自分のペースでキャリアについて考えられる──そんな利便性と体験価値を、これからさらに高めていきます。


ぜひ今後の進化にもご期待ください。

 

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