back check 事業部開発チームの匠平@show60です。
プロジェクトの振り返りに LeanCoffee を用いてみたので、今回はこちらを振り返ってみたいと思います。
振り返りを行った経緯
back check チームではスプリントの終わりに KPT を用いた振り返りを行っていますが、今回これとは別にプロジェクト単位での振り返りを行いました。
チームではこの1ヶ月ほど新機能の開発を進めていたのですが、進行の障害となる事象が起こり始め、うまくいっていないと感じるようになりました。 何が原因で "うまくいってない" のかを洗い出すため、各自が課題と感じていることを収集し議論する場を設けることにしました。
LeanCoffee の実施方法
LeanCoffee とは
何が課題であるかを探るところから始めるため、振り返り手法には LeanCoffee を用いることにしました。
アジェンダのないミーティング方法です
参加者が集まり、アジェンダを作り、議論を始めます
メリットとしては以下のことが挙げられています。
- 広い範囲のトピックを扱うことができる
- 事前・事後の準備が (ほぼ) 不要
- ネクストアクションを出すこともできる
LeanCoffee の進め方
準備と進行方法は、こちらのスライドを参考に実施しました。
振り返り会場は miro で作成し、事前に以下のような枠組みだけ用意しました。
話したいトピックを黄緑色の付箋に書いて左の Ready
の枠に入れていきます。出揃った付箋のなかから話す順番を決めるため、緑の●を各自2票ずつ投票します。
話すトピックをピックアップして Doing
に移します。トピックについて話す時間を7分間とし議論します。
7分経ったら、このトピックの議論を続けるかを投票します。手のジェスチャーで意思表示しますが、今回 miro で行ったためカーソルアイコンを手の絵文字に乗せることで投票としました。
「議論を継続」に4票以上投票されていたら議論時間を4分追加します。これを繰り返し、4票未満になるまで議論を行っていきます。
やってみた結果どうだったか
良かったこと
ミーティング時間が延々と長引くことがない
議論が白熱したり、煮詰まるとついつい長引いてしまうことがあります。LeanCoffee では投票時間を設けてあるため、ミーティング時間を区切る機会が多く、コントロールがしやすいと思います。
広いトピックを扱うことができる
投票によって議論するトピックが決まります。選出理由に制限はなく、多くのメンバーの興味を引いたトピックが選出されます。個人で抱えている課題も場に出すことができるため、相互理解にも効果があると感じました。
良くなかったこと
トピックが大きい場合、別途切り出すなど工夫したほうがいい
LeanCoffee に議論の制限時間を設けているのは、トピックを速く処理するための仕掛けだと思っています。その特性上、取り扱う課題が大きいトピックや、前後関係の深いトピックの場合は扱いが難しいと感じました。
これらのネクストアクションまで話し合うには、ファシリテーションを含め慣れや訓練が必要そうです。
「◯回の延長が行われた場合、別のミーティングを設ける」など独自ルールを決めてもいいかもしれません。
他の手法を上回るメリットが出てこなかった
課題の収集という点ではタイムライン振り返りのほうが抜け落ちが少ないため、LeanCoffee を課題収集・理解の目的と割り切るには難しいように思います。
また課題を選出して議論するという手法は KPT も同じですが、ネクストアクションを必ず出すという点においては KPT のほうが強力です。
KPT での振り返りに慣れているチームとしては、上記で挙げている「良かったこと」を KPT で享受できており、今回試してみた限りでは大きく勝るメリットを感じられませんでした。
準備の手軽さという点は大きなメリットなので、これから振り返りを導入しようというチームにとっては選択肢としてありなのではと思います。
同じように、普段とは違う部署やメンバーとミーティングするときなんかも上手く機能するのではないかと感じました。
おまけ: 振り返り方法の選定
振り返り方法として LeanCoffee 以外にも KPT とタイムライン振り返りも検討しましたので、不採用理由もそれぞれ記述します。
結果として、今回の目的であればタイムライン振り返りを採用してもよかったなと思っていますので、ぜひ次回チャレンジしてみます。
KPT
スプリントの終わりの振り返りには KPT を用いています。 KPT はチームの課題 (Problem) に対して改善のためのネクストアクション (Try) を決めるという強いメリットを持つフレームワークです。
議論したいトピックを投票で選出することで短時間でネクストアクションを考えられる反面、選出されなかったトピックは議論されないまま、また日の目を見ることを期待してそっと過去に消えていきます。
今回の目的は各自が課題に思っていることを洗い出し、できる限り多くを議論の場に持っていくことが目的であったため KPT の採用は見送りました。
タイムライン振り返り
プロジェクトの始まりから終わりまでを時系列に沿って書き出す、データの収集を目的としたフレームワークです。 今回 LeanCoffee を試してみたかったこともあり採用を見送ったのですが、振り返り材料の収集という点では効果のある手法です。
タイムラインで収集した振り返り材料を KPT に持っていく、という組み合わせでぜひチャレンジしてみたいです。