スクラムマスターの帽子を外すタイミングでチームと改善してきた1年半をふりかえる

この記事は個人ブログと同じ内容です

スクラムマスターの帽子を外すタイミングでチームと改善してきた1年半をふりかえる

はじめに

この記事では、私がスクラムマスターとして約1年半活動した経験と照らし合わせながら、back check 開発チームで進めてきたチーム活動の成果についてふりかえります。

スクラムマスターとしての活動の始まり

私のスクラムマスターとしての活動は、チーム運営のサポート役的なものから始まりました。しかし、エンジニアとしてもスクラムマスターとしてもチームメンバーに価値を感じて貰えるようなコミットができていなかったことから、専任として開発者の帽子を脱ぐこととしました。プロダクトコードの運用から外れ、充分な時間をいただけるようになりました。これにより、現状に対する組織体制とプロセスの最適化や、書籍やコミュニティなどでインプットしたチームのアジリティを高めるための考え方やプラクティスを提案するなど、自分の視野や活動の範囲を広げることができました。

チーム分割

活動当初は私自身知見を持ち合わせていなかったこともあり、スクラムマスターとして活動した最初の半年は活動の学習とチームメンバーの持っている課題感のキャッチアップに割きました。

詳細についてはback check の開発組織拡大にスクラムマスターとして向き合った話 に書いたので暗中模索していた時期について気になる方は覗いてみてください。

パフォーマンス可視化

チームの分割によってチーム活動がとてもやりやすくなったという意見が、半年経過しても引き続き上がってくる程度には効果を実感することができました。(もしかしたら他に視点が向けられていないことの裏付けかも?と書きながら思ったりw)

チームのふりかえりでこの効果を可視化できないか?という取り組みからパフォーマンス計測に使えるメトリクス選定を行いました。

実際の施策としてはこちらの記事 スクラムチームが自身をもってアウトカムとスプリント活動に集中するためのコツ を参考に、Jiraの管理チャートを活用したサイクルタイムのふりかえりを始めました。

しかし、問い合わせ対応などの外部要因によるブレが大きいことなどからスプリントごとのふりかえりでは効果的に活かせておらず、この辺は頻度を調整するなりメトリックを調整するなりして今後適切に自分達の現在地を把握するためのツールのひとつとして活用していければと思います。

チームではじめるアジャイルメトリクス

チームのありたい姿の共通言語を作る

2022年の12月にはテックリードの竹原さんがチームに参画したことやプロダクトとしての新しい取り組みが始まったことから技術の観点を含めて back check のエンジニアリング組織の方向性に焦点があたりました。

この時点で技術的に今後どのようなアーキテクチャを目指していくか。エンジニアリング組織としてはどのようなチームを目指していくか。などの共通言語がない状況で、新しい取り組みをどう進めていくか悩んだ結果、チームの共通言語を作ることとしました。 そこで Tool: Create a vision with the team を参考にしたワークショップを通じて、チームのミッションや目的などの共通言語を作りました。

back check Engineers Team Vision
back check Engineers Team Vision

ただしこれにはやや反省点がありました。ここで活用したCreate a vision with the teamのワークショップは合計8時間かかるものですが大人数で実施するのには向いてなかったように思います。アイデアの発散にはいいのですが、ステートメントに収束させるためには対話の中で試行錯誤する必要があり、これを大人数でやろうとした結果参加者は回答に困り、ファシリテーターも対話でなんとかするつもりでいたが全然議論が進まずという事態に陥りました。 結果として私を含めた企画委員会のメンバーで持ち帰り、みんなのアイデアから叩きのステートメント案を抽出してレビューしてもらうという方法でなんとか決定にいたりました。 今後チームのミッションや目的の更新についてはもっとライトにみんなの意見を集めて反映できるように課題が残りました。

ここはコストをかけすぎてしまった気もしますが、言語化されたback check エンジニアリング組織のMissionを作ることができました。 また、同じタイミングでback checkの事業に向き合うプロダクトチームとしてもMissionを設定したことで、これらの期間にシステムに責任を持つエンジニアリング組織として、またプロダクト開発組織としてそれぞれチームの共通言語を作ることができ今後の方向性を話す上での軸を作ることができました。

中長期的な技術課題の導入

チームのミッションを踏まえて、やり切るまでドライブすることのできていなかった中長期的取り組みの必要な規模の技術課題を解決するためにOKR(Objectives and Key Results)を導入し、キックオフを行いました。 こちらの運用についてはエンジニアリング組織内に閉じた目標とし、システムから生産性を高めるための取り組みをチーム毎に目標設定しました。 各チームで現在取り組んでいるものは以下になります。 「コンテナ・サーバレス化」 「自動化によるテストコスト削減と品質維持」 OKRについては運用の知見がまだまだ足りないため、今後回数を重ねるに連れて運用も改善していければと思います。

職能を跨いだコラボレーションの促進に向けた取り組み

続いて今までの話題よりもやや具体性は高いがとても大きな成果を得たトピックになります。

直近の取り組みの中で今までエンジニアチームはUIデザインおよび要件定義された施策に対して詳細設計・デリバリーを主な職域として活動してきました。 しかし直近取り組んだ大きな機能改修を伴う施策の中で、未使用だがメンテされていたスタッフ用管理画面の機能の削除提案や、企業ユーザー用画面の仕様の複雑さに気づいたことをきっかけにデザイナーと一緒にUIデザインを考えたりと、エンジニアのみで構成されたチームが能動的に設計・実装以外の部分についてもデザイナーやPdMと一緒に活動する機会が増えてきました。

これをきっかけにもう一方のチームでも技術的な複雑性を伴う機能のUIデザインをスプリントに組み込んで試した結果、良い手応えが得られたりと少しずつコラボレーションがうまくできるようになってきました。

このような職能を掛け合わせたコラボレーションは素早いフィードバックと、より多くの視点でユーザーの課題を捉え、効果的な課題解決を生むきっかけとして効果的に作用してくれるように思います。

今後の取り組みとして、いくつかこれらのコラボレーションを促進する企画を控えているので、その辺についてはまたの機会にご紹介できればと思います。

これからの展望

2023年4月時点で各チームではスクラムマスターを配置し、私から役割を引き継いで私自身は開発者としてエンジニアの役割で活動していきます。その中で、私はスクラムマスターの経験を活かして持続可能なペースで顧客や事業により大きな価値を提供できることを目指し、一人一人がいきいきと活動できる組織づくりを目指していきます。

その先でチームビジョンである「技術力を以って高い生産性と品質を達成する業界最高水準の開発チームになる」ことの実現に向けて、チームで日々邁進していきます。

おわりに

最期に個人のふりかえりとして、スクラムマスターとしての活動は、チームや組織に対する理解、アジャイル開発の思想やプラクティスの知識習得に大きく貢献しました。 今後はチームの中から、今まで習得してきた知識を活用していけたらと思います。

上記にあげたトピックについて詳しく知りたい方や、その他開発チームのプロセス改善について悩んでいらっしゃる方がいらしたらコメントやTwitterのDM等いただけますと嬉しいです。 カジュアルにディスカッションしましょう!

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