※この記事は note からの転載です
株式会社ROXXのback checkプロダクトマネジメント(以下、PdM)チームのShohei (@show60)です。こんにちは。
日々プロダクトに寄せられるフィードバック(FB)やアイデアへの対応について、限られたリソースを適切に配分するためにはその優先順位を決めていく必要があります。
普段、優先順位の評価方法としてRICEスコアを用いていますが、今回はそこに狩野モデルを絡めた評価を試してみましたので紹介します。
RICEスコアとは
RICEスコアとは、施策の規模、影響範囲、信頼性、努力度を考慮して、それぞれにスコアをつけ、総合的な優先順位を決定する手法です。詳しい説明は他に譲りますが、シンプルで実践しやすいので気に入って使っています。
比較的客観的な方法のため他者が見ても納得感を得やすいことと、FBやアイデアに被さる報告者のバイアスを剥がすのにも一役買っていると感じています。
狩野モデルとは
狩野モデルとは、プロダクトの機能やストーリーについて、その品質タイプを分別する手法です。
顧客が製品やサービスに対して要求する品質について、「当たり前品質」「一元的品質」「魅力的品質」「無関心品質」「逆品質」の品質要素に分類する。[中略]その品質がどの品質要素に該当するかによって顧客満足度に与える効果が異なるとされる。
例えば、パスワードを忘れてしまったユーザーのための「パスワード再発行」機能は、(充足されて)ないとユーザーは不満に感じますが、その品質をいくらあげようが満足度は一定値以上は上がらないはずです。これは「当たり前品質」に分別されるでしょう。(グラフ赤線)
プロダクトの戦略の違いはあれど、ユーザーの不満を放置しておくことは健全ではないはずです。 機能やストーリーをこの狩野モデルで分別し、品質タイプを理解することは優先順位付けに有益なのではと思い試してみました。
RICEスコアと狩野モデルを使った優先順位付けの手順
以下のような手順を実践してみました。
- FBの要望を満たす大まかなソリューションを作成する
- ソリューションにRICEスコアを付ける
- RICEスコアの高い順に狩野モデルで評価し、分別する
1.2の手順は通常行っているままで、3.のステップを新たに追加しました。
狩野モデルでの評価方法
ソリューションを一つ取り上げ、下の表に照らし合わせていきます。
先ほどの「パスワード再発行」を例に取ると、
- 充足質問:「当たり前」に該当
- 不充足質問:「気に入らない」に該当
結果、「パスワード再発行は当たり前品質」と分別することができます。
以下の図は、実際にソリューションを狩野モデルに照らし合わせてみた結果の一部です。付箋ツールを使って各品質タイプごとに並べており、各カラム内の付箋はRICEスコアの高い順となっています。
この狩野モデルでの評価前にすでに要件定義に着手していたものは白い付箋にしました。 これを眺めると、"なくても困らないがあると嬉しい魅力的品質" を進めようとしていたのだなというのが分かります。当たり前品質が満たされないのは顧客にとって不満でしかないので、溜め込み過ぎずに早急に対処するべきだろうということも見えてきます。
実践してみた感想
RICEスコアが客観的な評価が得意である一方、狩野モデルではプロダクトやユーザーの現状と照らし合わせた評価がしやすいため、補完しあえる組み合わせだと感じました。
いずれの手法も実施難易度が低いこと、結果が分かりやすいというメリットがあると思います。
大きなデメリットはまだ浮かんでいないのですが強いていうならば、狩野モデルでの評価では当たり前品質が不充足であることが目立ってしまうため、それを執拗に満たそうという気持ちが発生するかもしれません。 当たり前品質が低いが同様にRICEスコアが低ければ対応を見送る、など基準を作るのもいいと思います。
最後に
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